障害福祉事業別「型」分類
僕は介護・福祉事業を大きく5つの型に分類しています。
1, 入居型(特別養護老人ホーム・有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅・障害者グループホームなど)
2, 通所型(通所介護・生活介護・就労支援A型/B型など)
3, 訪問型(訪問介護・訪問看護・居宅介護など)
4, 多機能型(小規模多機能型居宅介護など)
5, 共生型(共生型デイサービスなど)
※共生型とは比較的新しい事業形態です。高齢者のデイサービスに障害児者も来られるなど年齢や障害の違う人たちが共生しているビジネスモデルになります。
5つの型ごとに「肝」は異なるが「人材」は共通
1, 入居型:物件(立地・条件)+人材
2, 通所型:コンテンツ(強み)+人材
3, 訪問型:地域特性(競合)+人材
4, 多機能型:行政(方向性)+人材
5, 共生型:ノウハウ+行政+人材
例えば、高級有料老人ホームを作るのに駅から遠ければ入居者は集まりません(立地)。グループホーム運営にあたって、高い物件を選んでしまうと、経営が成り立ちません(条件)。
高齢者のデイサービスを運営する場合、利用者さんは朝9時にきて、夕方4~5時頃にご自宅に送ります。その7~8時間で何を提供するのかというのが非常に重要です。単純にお年寄りを送迎して、ご飯・お風呂・体操を提供するだけという事業所は世の中にありふれています。そうするとなかなか利用者さんが自分の事業所を選んでくれません。それなので、リハビリ型のデイサービスセンターやエンターテインメント型デイサービスセンターなど、コンテンツを開発している事業所が勝ち残っています(コンテンツ)。
訪問型は箱モノ(利用者さんが使用する建物)がいらないため、参入障壁が低く、どこのエリアでも事業所が多い状態です。そして、差別化しにくい業態です。ヘルパーさんの質が良いとヘルパー個人に指名が入ることはありますが、そういったヘルパーさんのみ集めることはとても難しいです。なので、出店する地域を選ぶことが大切となります。
小規模多機能型居宅事業所は、地域密着型のサービスです。なので、市区町村が指定を出す・出さないを決める権限を持っています。行政の指定が出なければ、出店自体ができません。ですので、出店したい地区町村の意向を把握する必要があります(方向性)。
最後に、共生型の場合は、行政の方向性と複数の異なるサービス(高齢者・障害児・障害者のデイサービスなど)を、同じ人が同じ場所で提供するための(ノウハウ)が大切となります。
5つの型ごとに向いている人材とは?
1, 入居型: 介護や福祉の専門知識があり、チームで仕事ができる人(内向的)※要検討
2, 通所型: エンターテイナー型で、チームで仕事ができる人(外交的)※要検討
3, 訪問型: 1対1のコミュニケーション能力が高い人(内向的)※要検討
4, 多機能型: オールラウンダーで、チームで仕事をできる人(中間)※要検討
5, 共生型: 介護・福祉の専門知識があるオールラウンダーな人(外交的)※要検討
入居型施設の場合、介護の世界であれば、要介護度が高い重度の人が入居しています。障害者向けグループホームは例外なのでのぞきますが、入居型施設では大人数の介護が同時に必要です。
当然、一人ではできないので、チームで介護にあたります。
それなので、チームで仕事ができるかどうかがカギとなります。
障害者向けグループホームの場合だと、対象とする人が軽度なのか重度なのか、どういった障害を持っているかにより、必要となる人材のタイプが異なります。
軽度の人が対象の場合、専門知識がなくとも、愛想がよく面倒見がよい人が向いています。ですが、重度の方を対象とした施設の場合は、専門知識を持っていて、チームで仕事ができる人材を集める必要があります。
高齢者施設を例に出すと、利用者さんの要介護度が上がると、その人に関わる専門家が増えていきます。在宅医療で訪問してくるお医者さん、訪問看護でくる看護師さん、そして現場で働く介護スタッフなどです。それぞれの立場の人が、医師の指示に基づいて、連携して情報共有しながら仕事をすることになります。介護職間での情報共有も必要となります。ですので、入居型施設の場合には、チームプレイが向いている人を集めることが大切です。
通所型施設では、エンターテイナータイプが活躍します。高齢者施設を例に出すと、多ければ100名以上が通ってきます。その際に、100対1でじゃんけん大会などをし、利用者さんを楽しませなければなりません。さらに入居型施設同様、チームでの仕事が得意な人が向いているでしょう。
上記、2つの施設型と訪問型施設で能力を発揮する人材の大きな差は、1対1の人間関係となるところです。入居型・通所型ともに、大人数の利用者さんに対し、チームで向き合います。ですが、訪問型では、1人の利用者さんの家に1人のスタッフが出向いて、支援にあたります。それなので、どちらかといえば、内向的な人のほうが向いています。
多機能型の施設の場合は、同じ敷地内にデイサービス・宿泊への対応・その利用者さんが家にいれば訪問ヘルパーとして臨機応変に対応できなければなりません。専門知識もあり、チーム仕事もでき、ときにはエンターテイナーの役割もこなし、1対1のコミュニケーションの能力も高い、オールラウンダーが求められます。そのような人材はほぼいないのでは?と思うと思います。ですが、本来は、理想的なのはそういう人材です。
最後に、共生型施設の場合、求められる人材のハードルはさらに上がります。介護・福祉・児童のケアなど幅広い専門知識が必要になります。そして、障害者・高齢者・児童に対して提供するサービスは異なります。それぞれの環境に適応できる臨機応変さが求められます。
障害者向けサービスは、身体・知的・精神障害があります。なので、高齢者介護にも、障害者介護にも対応できる必要があります。
多機能型の施設と共生型施設で活躍できる人材は、他の3つの型の施設でも実力を発揮できる人です。
このようにどの施設にはこういった人材が合うという「型」を把握していると、面接の際にする質問も違ってきますし、人材の採用のときに役立ちます。どの型にも共通していますが、入居型施設で活躍していた人が、通所型施設に移動したところ、実力を発揮できないことはよくあります。それぞれの施設で求められる資質が違うので、求められる資質にマッチしたキャラクターの人材を採用しましょう!
採用のポイント
人の採用にあたって、事業者側がまずやらなくてはいけないのは、自社の理念やビジョン、今後どんな事業を展開していくかという事業計画書を作りこんでおくことです。これらを明確にさせておくと、面接のときや人材教育の際に、経営者や管理責任者がきちんと説明できるようになります。もう1つやらなくてはいけないのは、作りこんでおく段階で、どういった人物を採用したいのかを言語化しておくことです。
なぜかというと、採用したいターゲットを地域・男女・年齢・資格・経験などでセグメントができるからです。どこのエリアに住んでいるのか、男性なのか女性なのか、何歳くらいの人で、どんな資格を持っているか、どんな経験を積んでいる人材を採用したいのかをしっかり決めておくことが大切です。そこが明確でないと、人材紹介会社や派遣会社、転職サイトなどに騙されてしまいます。なので、どんな人材が欲しいのか明確にしておきましょう。
無料の求人媒体を活用する!
ハローワーク(https://www.hellowork.mhlw.go.jp/)・indeed(https://jp.indeed.com/)・福祉人材センター(https://www.tcsw.tvac.or.jp/jinzai/)など、無料で求人情報を登録できる場所には、必ず登録しましょう。
どのサイトも情報を更新すると、新着情報としてwebの目立つ場所に掲載されます。それなので、1か月に1度は、求人情報の内容を変更することが大切です。そして、人材紹介会社や派遣会社、転職サイトなどに求人を丸投げしないようにしましょう。
それらの業者は、求職者をすぐに紹介してくれますが、コストがかかります。コストをかけたからといって、それがいい人材とも限りません。特に転職サイトなどの場合、そのwebサイトが、自社が求めている福祉人材にきちんと訴求しているとは限りません。
例えば、世話人さんや夜間職員さんを集めるのであれば、タウンワーク(https://townwork.net/)でもいいかもしれません。ですが、有資格者を集めるのに、タウンワークに求人広告を出しても集まらない可能性が高いです。どんな人材を求めるかにより、どの既存媒体を活用するかを明確にしましょう。