障害福祉事業の業態(サービス種類)ごとの事業性分析

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介護・福祉事業の利益率

下の図は、代表的な介護・福祉事業の利益率を表した図です。

一番、右端の円は障害者向けグループホームの利益率です。高齢者介護施設や他に福祉事業施設と比べると、障害者向けグループホームが損益分岐点を超えるスピードは早いです。なぜなら、世話人さんの配置基準が介護保険と異なり、フレキシブルにできているからです。

 

その下に相談支援事業所の円がありますが、現在、相談件数は非常に多いので、ほぼ利益は出ません。プラスマイナスゼロといった感じのイメージをしてください。ただ、相談支援事業所を開設することで、自社の他の福祉施設に利用者さんをディストリビュート(分配)する役割を果たせます。そこが開設するメリットです。ですが、相談支援事業所単体では、ほぼ利益は出ずむしろ赤字になる事業です。

 

精神科訪問看護事業は、財源が診療報酬なので、利益率は非常に高いです。しかし、損益分岐を超えるには運営の仕方にポイントがあります。先に障害者向けグループホームを運営していて、そこに入居者がすでにいるのであれば、最初からある程度の利用者さんを見込めます。だけど、精神科訪問看護ステーションだけを立ち上げる場合は、ゼロから利用者さんを集めることになります。その場合は、損益分岐点を超えるスピードが遅くなります。

 

高齢者のデイサービスセンターの損益分岐点は、現在、図のこの辺りにあります。ですが、僕が高齢者のお泊りデイサービス事業所を起業した2004年には、この辺(青〇)にありました。

高齢者向けデイサービスセンター事業所は、僕が起業した2004年頃には、全国に4,000件くらいしかありませんでした。今ではおよそ4万件増え、44千件まで伸びました。コンビニエンスストアと同じくらいのデイサービス事業所があります。それなので、競合が増え、損益分岐のスピードが遅くなっていきました。さらに、厚生労働省がよくやる手なのですが、新しいサービス(障害福祉サービスでいえば、放課後等デイサービス)や制度を作った時には、非常に収益率・利益率が高い報酬単価を設定します。報酬単価を高くすると、そのサービスを開設する事業者が増えます。数が増えたところで、報酬単価を引き下げます。就労支援サービスも全く同じ道を歩んでいます。

 

水色が障害者のデイサービスセンター(グラフ 生活介護)ですが、まだ数が足りないので、収益率・利益率、報酬単価も高いです。だけど、障害者グループホーム事業などから利用者さんを集めてこないと、損益分岐点を超えるのにおよそ68か月かかります。

 

有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅は(グラフ 有料老人ホーム)真ん中に位置していますが、運営の仕方により、右側にも左側にもなります(※全体的にイラストや図を要検討)。今、有料老人ホームは両極端に振れています。要介護度が高く医療が必要な利用者さんを対象にすると、この辺(黄色〇)になります。ですが、現場のマネジメントは大変になります。僕が現在、運営しているサービス付き高齢者向け住宅は、この辺(黄色〇)に位置します。

 

要介護度が低く、医療を必要としない方を対象に、現場のマネジメントに力を入れたくない方が経営すると、この辺(赤〇)に位置します。

 

有料老人ホームも制度ができた当時は、みんな、この辺(黄色〇)でした。今は、医療依存度が高い方を対象とした事業所はこの辺(黄色〇)、低い方を対象にした事業所はこの辺(赤〇)と二極化しています。

 

障害者向けグループホームに話を戻すと、制度自体は、平成元年(1989年)にできたものです。そこから報酬改定が何度かありました。直近の改訂の際に、元からあった介護サービス包括型と外部サービス利用型に加え、日中サービス支援型という類型ができました。日中サービス支援型は、昼間は働いていたり、就労支援事業所に通っていたり・通えない人たちを対象としているグループホームです。日中サービス支援型のグループホームは、どちらかというと、重度向けに寄っていきます。

障害者グループホームというと、介護サービス包括型をイメージする方が多いと思います。ですが、先ほど書いたように、ゆくゆくは介護度も医療依存度も高めの施設がより必要とされるようになります。