障害者グループホームの法的構造
障害者グループホーム(共同生活援助)の法的な構造は、物件の建築基準法とそれに伴う消防法、そして障害者総合支援法に基づいています。
障害者総合支援法の中に、人員・運営・設備の基準が定められていて、それらを満たしていると、訓練給付費を受けられます。そして、訓練給付費プラス加算も受けられますし、逆に基準を満たしてないと減算にもなります。
まずは、建築基準法の条件をクリアする。次に、消防法の条件を満たす。そうすると、障害者総合支援法の指定が受けられる前提条件が整います。
その上で、人員・運営・設備の基準を満たすと、市町村より指定が受けられます。指定がもらえると、国に対して訓練給付費と、加算の請求ができるようになるという法的な構造になっています。
障害者グループホーム開設・運営にあたり重要なポイント8つがあります。この記事では、(1)建築基準法のポイントと(2)消防法のポイントを解説します。
(1)建築基準法のポイント
1.市街化調整区域
開設する地域によって変わりますが、市街化調整区域はNGです。とてもいい物件が見つかり、興奮していくと、市街化調整区域だということはよくあります。ただ、市街化調整区域でもいいというところも全国1500市区町村の中にはありますので、行政に確認するといいでしょう。
2.1981年以降の新耐震基準の建物
旧耐震の物件でも、耐震基準を満たしていれば認可は出ますが、耐震診断をすることになります。
- 検査済証・確認済証・建築士による適合証明
検査済証・確認済証・建築士による適合証明と3段階があり、検査済書が一番厳しく、確認済証、建築士による適合証明と続きます。市町村(指定権者)によっては、検査済証がないと認可を出さないところもあります。例えば、大阪府だと吹田市がそうです。他の市は、確認済証があればいいなど、指定権者により必要な書類が異なります。
また、建築士による適合証明書というものがありますが、その物件が適合すると証明書を書いてもらう場合もあります。5万円ぐらい払うと書いてもらえます。
(2)消防法のポイント
1.「6項ハ」であることを確認する
(盛岡消防本部のホームページ
https://www.morioka-fire.jp/rink/syouboudouishinsakijun/3.3furo6ro.ha.pdf)
グループホームには、重度の人が入所するわけではないので、「6項ハ」だということを確認しないと、所轄の消防署が理解していないことがあります。障害者が入居するのなら、「6項ロ」だといった具合に勘違いしている人も多いです。
「6項ハ」「6項ロ」の違いは、高齢者や障害が重い避難困難者の入居割合にあります。グループホームは、障害区分4以上の人が入居者全体の80%以上になった場合は、「6項ロ」になります。それ未満であれば、「6項ハ」に該当します。
「6項ロ」に当てはまってしまうと、スプリンクラーか自動火災報知機を設置しなければなりません。例えば、僕の家にスプリンクラーを設置しようとすると、だいたい400万円くらいかかります。自動火災報知機を設置すると、80万円ぐらいです。初期費用に大きな差がつくので、障害区分4以上の人が、80%を超えないようにしてください。
弊社の障害者グループホームの入居者さんで、障害区分6で、元気で就労意欲があり、自動車解体の仕事をしている人がいます。ですが、どんなに元気でも、障害区分6の時点で、避難困難者です。その人の状態ではなく、障害区分で見ることになるので、要注意です。
自動火災報知機かスプリンクラーの設置が、「6項ハ」「6項ロ」の分かれ道になります。
3.防炎カーテン・防炎カーペット
カーテンやカーペットは、防炎のものを使ってください。「防炎」というタグがついているものにしてください。
4.誘導灯・消火器・避難経路・避難訓練
自動火災報知設備をする場合は、誘導灯・消火器を設置し、避難経路を設定し、避難訓練をしっかり行ってください。
障害者グループホームの法的構造②以降で、他のポイントについては解説します。