行政の「措置」により利用できる事業所が決められていた時代から「利用契約」により自由に選べる時代へ|障害福祉サービスを受けられるようになるまでの流れ

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障害福祉サービス等の体系

(障害福祉サービス等について – 厚生労働省 4頁

https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12201000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu-Kikakuka/0000167010.pdf

厚生労働省に一覧が掲載されていますが、これだけの障害者サービスの種類があります。グループホーム事業は、「居住系」の中に入っています。相談・入浴・排泄・食事の介護など日常生活上の援助を行うと定められています。

 

(障害福祉サービス等について – 厚生労働省 5頁

https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12201000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu-Kikakuka/0000167010.pdf

障害児系のサービスは上図の種類があり、その下が相談系サービスです。

 

利用する福祉事業所が選べなかった「措置」時代と選べる「利用契約」時代

 

障害福祉サービスの提供は、昔は「措置」によるものでした。利用者が行政に、例えば、施設入所や障害福祉サービスを利用したいと申請すると、行政から、この福祉事業所を使ってくださいと指定されるというものでした。

 

今のように、どこの事業所を使うのか自由に選べない時代がありました。

 

障害者総合支援法が施行されてからは、図の下側に「利用契約」と書いてありますが、利用者と障害福祉事業者が契約を結ぶことによって、行政から給付費が得られる仕組みになっています。

 

 

老人ホームなど高齢者介護の世界にも、利用する事業所を自由に選べない時代がありました。利用者が行政に相談すると、行政が「この老人ホームに入ってください」という、「措置」が下されていました。介護保険ができたことによって、その制度から解放され、自分や家族が、利用する施設を選べるようになりました。

 

 

 

80項目の障害支援区分認定調査からサービス開始までの流れ

 

 

福祉サービスの提供を受ける前に、利用者は、市町村の障害福祉の窓口で、障害支援区分認定調査の申し込みをします。障害が軽度な順に、区分1~6までに区分され、区分ごとにサービス利用時間が異なります。

 

 

利用者は、80項目の認定調査を受けます。

 

身体的な部分では、寝返りができるか・歩行はきちんとできるか、食事はどうか、掃除・洗濯を自分でできるかなどの項目があります。精神的な部分では、対人面で被害的であるとか、支援に拒否があるか、収集癖があるかなどの項目があります。

また、人工透析など、特別な医療を受けているかなどの項目もあります。

 

この80項目の聞き取り調査から、認定調査を行います。認定調査は、基本的に、マークシート方式になっています。特記事項という項目では、家族が虐待しているとか、全く介護する力がない、自傷行為があるなど、マークシートで表現できない部分を表記していきます。

 

 

 

障害支援区分とは?

 

まずは、マークシート方式の80項目の調査をして、コンピューターによる一次判定をします。コンピューター上、この人は区分がいくつだという判定をします。

 

例えば、そこで、支援区分3と出ると、今度は審査会にかけられます。審査会は、その地域の医師や有識者で構成されています。

 

僕も、勤め人のときは、審査会の審査員をやっていました。その人の区分や要介護認定が妥当かどうかを判定・審議していきます。

 

審議会では、コンピューター上は区分3だけど、家族からの虐待がある人だから区分4にしようとか、逆にコンピューター上は区分3だけど、家族の支援が得られそうだから、区分4にしよう等、決めます。

 

その審査会を経て、支援区分が出た後、利用者や家族に、どんなサービスを利用したいのかという聞き取りをします。グループホームに入りたいという希望があれば、入所後、どういう風に生活をしていきたいかという計画書を作成します。

 

その計画書に基づいて、グループホームに入りたいという申請をします。そうすると、グループホームを利用していいですという、支給決定が出ます。

 

支援区分と支給決定が出ると、福祉サービスを利用できるという仕組みになっています。

 

福祉サービス支給決定からサービス開始までの流れ

 

認定調査や審議会を経て、支援区分と支給決定が出ると、福祉サービスを利用できるようになります。

 

将来どのような生活を送りたいかの計画書を作成すると、サービス担当者会議が開催されます。サービス担当者会議では、その人が今後利用していくサービスの担当者が集まり、どうやってその人を支援していくかの合意形成をします。

 

例えば、就労支援事業所に通いながら、グループホームに入居して、主治医はこの医師で、訪問看護ステーションを使うという方でしたら、それぞれの担当者が集まり、支援の方向性を決めます。

 

方向性が決まったら、それに基づいて、今度はグループホーム側で、計画案を作ります。この人は、月曜日から金曜日まで、就労支援事業所に通うなどです。

 

朝、起きられない方だったとすると、何時に起こせば通えるかというのを決めて、サービスの利用が始まります。

 

サービス利用に至るまでは、このような流れになります。

 

支援区分の決定から始めると、かなり面倒な手続きが必要です。ですが、一回、何らかのサービスを利用し始めると、今度はグループホーム側が、この支給決定の申請をするだけなので、そんなに難しくないです。

 

入居ルートにより異なる手続きの大変さ

グループホーム入居に至るルートによっても、手続きの面倒くささが異なります。

 

例えば、すでに相談支援事業所を利用していて、就労支援事業所に通っている方であれば、グループホームに対し、ある程度情報をまとめて提供してくれます。こんな人物で、就労先はこんな状態だということが分かると、入居を受け入れやすいです。

 

病院から紹介される方は、障害福祉サービスをすでに使っている方とそうでない方がいます。サービスを使っていない人の場合は、区分認定から始まるので、その認定が出て、支給決定が出るまでの期間が長いです。

 

また、病院経由だと厄介なのは、上から、早期退院させろと言われ、退院させなければいけなかった場合などです。

 

ありがちな例を挙げると、感染症に感染しているのだけど、それを隠して退院させる医療機関もあります。

 

僕が経験したケースでは、疥癬(かいせん)にかかっていることを隠して、利用者を退院させ、受け入れたところ、介護施設で疥癬(かいせん)が集団感染したということもありました。

 

一番、大変なのは、本人から入居させてくださいと来たときです。名前を聞くところからスタートするので、最初の情報収集の分、やはり手間がかかります。

 

ですので、その方が来るルートによって、かかる労力が変わってきます。